Van HalenとM&Msチョコレート: 早期問題発見手段

February 28, 2010  |  Management, 危機管理

さてHint Collective第一稿目は、Van HalenとM&Msチョコレートに纏わるお話です。1970年代後半からメンバーの入れ替わりを続けつつも現在もバンド活動を続けているVan Halenですが、1980年代の全盛期に彼らはバンドとライブ会場の契約書に後に業界ではスタンダードとなる「ライダー」(Rider)というものを付け足しました。

ライダーとはバンドが120%のショーを演出するために必要な機材や食べ物その他条件が書かれている契約書付随の書類の事です。ここにはMixボードのチャネル数、会場のワット数、照明機材の種類、ステージ上のモニタースピーカー数から楽屋内の鏡の数、ボトル・ウォーターの銘柄からドライヤーなどj条件が事細かに書かれています。そして、ライブハウス側はそのライダーに従い条件内容を満たした状態でバンドを迎えるわけですが、勿論それぞれのライブハウスが用意できる機材や銘柄は異なるため、代替用品を起用しつつ調整をしお互いが納得行く形で進めることになります。ただ、アーティスト側の知名度が高くなればなるほど、どの業界も同じように力関係が変わってくるわけで、アーティストが求めるものは有無を言わさずにライブハウス側は用意させられることになるのです。

茶色を抜いたM&Mチョコレートを楽屋に用意すること。同条件が満たされていない場合は、ギャラ全額支払の上ショーのキャンセルに至る

話はVan Halenに戻りますが、80年代初頭ヒットを飛ばしまくっていた彼らの大規模なステージ・セットは、トレーラー数台に及ぶほどの機材の量で、それに伴い彼らのライダーは小冊子になるほどの厚さだったと言われています。そのライダーの126項目に書かれていたのが次の要件「茶色を抜いたM&Mチョコレートを楽屋に用意すること。同条件が満たされていない場合は、ギャラ全額支払の上ショーのキャンセルに至る」。一見売れてるバンドが調子に乗って我がままを楽しんでいるかのように見えますが、これ実は彼らが早期に問題を発見する手段の一つだったのです。彼らのステージセットは、膨大なワット数を要し細かい調整を怠ると時に大きな事故にも至る危険がありました。その為、彼らのライダーには一項目ずつ重要な要件が書かれており、膨大な量なだけにそれら全項目をしっかりとライブハウス側が読んだかどうかを調べるため、例のM&Msの一項を入れたということなのです。従って、彼らがライブハウスに着きまず始めに確認するのが楽屋にあるM&Msチョコレート。もしそのM&Mに茶色が一粒でも入っていようなら、彼らは全ての機材確認から電圧の量の確認などショーが問題なくできるかどうかを調べたということなのです。そして、たいていの場合そのようなライブハウスでは、確認中に何かしらの問題を発見していたということなのです。流石プロですね。徹底してます。

彼らのとった手段は、どんなビジネスにも当てはめられると思います。会社の規模が小さいうちはちょっとした変化でも感知しやすいですが、会社の規模が大きくなればなるほど大きな問題となりえる兆候を察知するのは難しくなります。ただ、Van Halenにとっての茶色のM&Mチョコレートのように、問題が自ら見つけてくれと言わんばかりにシグナルを送ってくれるのなら、それ程助かることはないと思います。果たしてその茶色いM&Mに値するものが社員の問題を早期発見するものなのか、それとも経理課の問題なのか、会社経営をしていく上で必要となる各分野でのM&Msに値するものを一度良く考えてみるのも良いかもしれません。

おまけ:Googleでは、2008年11月からユーザーたちの「flu」や「influenza」という検索ワードの頻度を下にインフルエンザの発生を早期発見、その情報を疫学者へ提供することによって従来よりも1~2週間早い段階でのインフルエンザ対策へと結び付けられたとの事です。

<元ネタ>
Fast Company Issue 143 (March 2010): The Telltale Brown M&M

**今日の単語**
全盛期 = Heyday
発生 = Outbreak



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